やがて、場内が暗転し上映が始まった。
目の前一面にあらわれる星空。
視界のすべてが星空になる。
まるで本物の星空のようなリアルなそれに、あたしは一気に魅せられた。
緊張も解き放たれて、ナレーションに耳を傾けながら完全に空の世界に見入ってしまう。
こんな広い世界の下で、あたしは怜央くんと出逢い恋に落ちたんだ。
そんな事を想い、その奇跡に感謝する。
「今年は、金星が地球にもっとも近づきます」
あ、これさっき怜央くんが話していたことだ。
なんだか嬉しくなり、思わず隣に顔を振ると。
――――ドクンッ。
あまりにも顔が近くてドキドキした。
でも、目を逸らせないでいると、気配を感じ取ったのか、怜央くんがふいに顔をこっちに傾けて。
「……!」
お互い見つめ合う……。
解説のナレーションも、何もかも聞こえなくなる。



