「マジでごめん。痛いよね」
「いいえっ……」
申し訳なさそうに顔をゆがませる彼に、あたしは首を振った。
彼だけが悪いわけじゃない。
左右をよく確認しないで突っ走っていたあたしにも非があるんだから。
「水で洗って消毒した方がいいから保健室で手当てしよう」
「だっ、大丈夫です!」
「ダメだよ。俺もサッカーやっててしょっちゅう膝とか擦り剥くけど、ちゃんと手当するのとしないのじゃ、ぜんぜん治りが違うんだよね」
「……」
「女の子なんだし、ちゃんと跡残さないように治さないと、ね」
「……っ」
ね、と同時に向けられたその顔面の破壊力といったら。
綺麗すぎる顔で見つめられて、心臓が止まりそうになってしまった。



