びっくりした……。
「心菜ってば、どんどん遠くに行っちゃうから」
「あ、ごめん……」
あたしは、逆の方ばっかり見ていたみたい。
と、また電車が揺れて体がグラリと傾いた。
慣れないヒールを履いているから特に安定が悪いのだ。
瞬間、つかまれていた手にグッと力が入り。
「危なっかしくて目が離せねえ」
反対の手が、ポンと優しく頭の上に乗る。
「……っ、」
思わず、身をぎゅっと縮めた。
そのまま視線を上げれば。
白いTシャツの上にネイビーのシャツをさらりと羽織い。
黒の細身のパンツをカッコよく合わせた怜央くんと目が合った。
───ドクンッ!
今日も眩しいほどカッコいい。
はじめて会った時にも思ったけど、絶対に怜央くんはモデルになれると思う。



