「もうっ、やだっ……」
タオルでぱしん……と怜央くんの胸を軽く叩くと。
「ははっ、どこ行きたいか決めといてよ」
頭をクシャクシャと撫でられて、あたしの顔は完全に沸騰した。
怜央くんはあたしに行先の決定権を委ねたけど、どこに行ったらいいかわからなくて凪咲ちゃんにヘルプの電話を掛けた。
デートなんて生まれて初めてだから。
「凪咲ちゃん、どこに行ったらいいと思う!?」
『心菜ってばかわいー』
いちいちあたしを冷やかすことを忘れない凪咲ちゃんはこの際スルーしておこう。
いい加減慣れないと、心臓がいくつあっても足りないよ。
つき合うことを報告したときは「ほらね?」とまるで予言が当たった占い師みたいにドヤ顔していた。



