「声かけてよ~」
端から見てニヤニヤされていたのかと思うと、今さら穴に入りたいくらい恥ずかしい。
あたし、どんな顔してたんだろう。
「あんな人前で堂々と手を繋ぐなんて、怜央くんて独占欲強いタイプなんだね」
独占欲!?
なんてことを言うの凪咲ちゃん!
「あれはっ、あたしがなかなか教材を買えずにいたからでっ」
そんな顔から火が出そうな憶測を必死で否定しようとしていると、頭上から声が降ってきた。
「そうだよ、知らなかった?」
……え?
ゆっくり見上げると、そこにはドヤ顔をした怜央くんが。
れ、怜央くんっ!?
今の会話聞いてたの?
それから次に、あたしに向けて。
「つーことだから、よく覚えておいて」
ドクンッ!
その瞳に、思わず吸い込まれそうになった。
そんな風に言われたら逆らえるはずなんてなくて。
「……は、はい」
「イイコ」
ポンと、頭に乗せられた手は優しくて。
あたしはもうドキドキが止まらなかった。



