怜央くんのおかげで、無事に教材を買うことができた。
凪咲ちゃんを見失っちゃったから、そのまま怜央くんとふたりで教室に戻ってきたんだけど。
「あ、凪咲ちゃん」
すでに凪咲ちゃんは教室にいて、あたしにニヤニヤした視線を投げてくる。
え、なにその目は。
もしかして……。
「さっき見ちゃったよ」
「えっ」
凪咲ちゃんは、自分の手を掲げもう一方の手を絡ませた。
「……っ!!!」
わぁぁぁ、やっぱり。
凪咲ちゃんにも見られていたなんて。
『えー本当に?』
怜央くんとつき合うことになったと話したとき、凪咲ちゃんはものすごく驚いていた。
あれだけ彼氏候補に!なんて推していたくせに、いざ本当になったら目の玉が飛び出そうに。
「お邪魔だと思ったから、そーっとひとりで帰ってきたの」
ふふふ、と笑う凪咲ちゃんは面白そうにあたしを見る。



