自慢って。
そんな……あたしなんかを自慢したところで、いいことなんてひとつもないのに。
もうどこを見て歩いていいのやら、全身真っ赤になる体を縮こませながら進んでいるとこんな声を耳が拾った。
「見てっ!怜央くんが女の子と手をつないでる!」
「ウソっ、なんでっ!?」
もともと騒がしかったこの場が、また別の意味で騒がしくなる。
ああ、どうしよう。
すごい注目を浴びちゃってる。
そりゃあ怜央くんが女の子と手をつないでたら、騒ぎになるよね。
しかも、あたしなんかと。
隣をそっと見上げると、聞こえているはずなのに、怜央くんは涼しい顔をして颯爽と歩いている。
噂されて恥ずかしくないのかな?
それとも、こんなのなんてことない?
確か、中学時代に彼女はいたらしいけど……。
これだけカッコいいんだから、彼女じゃなくても女の子とそれなりに色々あるよね。
騒がれるその隣で、あたしは真っ赤な顔を隠すようにひたすらうつむいていた。



