「心菜はちっこいからな」



あたしの手を引いたまま、人の波をささっとうまくすり抜けていく。


ど、どうして怜央くんが……。



「あ、あのっ」



そしていきなりの行動に動揺が隠せない。


手をつなぐなんて、恋愛初心者のあたしにとったら重大事項だから。



「みんなに見られちゃうよっ」



人前で手をつなぐ勇気なんてあるわけない。


咄嗟に離そうと試みるけど、その力は思いのほか強く簡単には離れてくれない。


それどころか、離そうとする力に反してもっと強くなっていく気がする。



「つーか、みんなに見せてんだけど?」


「……っ」



注がれる流し目があまりに綺麗でドキッとしてしまった。



「心菜は俺のだって、みんなに自慢したい」


「れ、怜央くんっ……」