自転車の人は、あたしの少し先で倒れそうになりながらもなんとか体を起こして体制を整えていた。


うまくよけてもらって助かった。


まともに衝突してたら、大惨事だったはず。


尻もちをついたはずみで一緒に手もついてしまったせいで、手のひらがジンジンしている。


それでも、手のひらをすりむいただけでよかったなぁ、と思いながら立ち上がると、



「ごめんっ、大丈夫!?」



自転車から降りてきた人が、あたしに駆け寄ってくる。


同じ制服を着た、男の子。



───ドクンッ。


その人の顔を見た瞬間、心臓が高鳴った。


手の痛みなんて一気に吹っ飛んで、あたしは彼にくぎ付けになる。


だって……その顔が、あまりにも整いすぎてたから。