でも、それ以上に驚きの方が大きい。


だって……。



「な、なんで、あたし……?」



好きになってもらえる心当たりなんてないから。


もしかして、からかわれてる。



「はじめて心菜を知ったのは、大和の彼女の友達っていう位置づけだったんだけど、それで何度か目にして、雰囲気とか好きだなって思ってて」



怜央くんは、少し恥ずかしそうに視線を逸らす。


それは、1年生の時?


あたしがまだ怜央くんを全く知らなかったとき……。



「で、始業式のときぶつかりそうになったとき、あ、あの子だって……」


「……ごめん……あたし、その日にはじめて怜央くんを知ったの」


「ははっ、俺、影薄っ!」


「そんなことないよ!あたしが知らなかったのかおかしいの!だって、みんな怜央くんのこと知ってて、カッコいいとか同じクラスになれて嬉しいとか騒いでたもん!」


「必死だな、心菜」



ふふっと笑う怜央くんが、すごく意地悪に見えた。