繰り返し問うそれに、顔を逸らした。


何度も言わせないでほしい。



「ごめんねっ……もう忘れるから。すみれちゃんとの仲を邪魔したりなんてしないし。
お疲れ様、バイバイっ」



これ以上一緒にいても、つらさが募るだけ。


せめてもの笑顔を作って、駅へ駆け出そうとした。



すると。


グイッーーーー腕をつかまれた。


振り向いたあたしに映ったのは、揺れる怜央くんの瞳。



「自分ばっか言いたいこと言って逃げないでよ。俺にだって言わせて」



なんだかとても切ない声。



「どうして俺と中野がつき合ってることになってんの?」


「……」


「俺、そんなこと言ったっけ?」



まるで責められているよう。


泣かないように、下唇を噛む。


つかまれた手の力が強くなったとき。



「俺が好きなのは…………心菜だよ」