「余計なお世話かもしれないけど、吐き出したらちょっとは軽くなることもあるだろうし。心菜の性格なら、自分からは絶対に話さない気がしたから。敢えて言わせてもらった」
真剣な目で訴える怜央くんは、あたしの悩みをなんだと思ってる?
「な、何もないよっ」
言えるわけない。
言い捨てるように呟いて、足を速めると
――グイッ。
大きな手があたしの手を掴んだ。
「ちょっと話そうよ」
「……っ」
グッと唇をかみしめて、怜央くんを見つめ返す。
どうして?
こんなことして……あたしはつらくなるだけなのに……。
それでも。
嫌だと言っても、帰してくれそうにない怜央くんの勢いに負けて。
あたしたちは、駅前広場のベンチに並んで腰かけた。
土曜の夜だからか、人気は少ない。



