どうか、君の笑顔にもう一度逢えますように。



「そんなこと言うなって。それに、中野がその日用事があって来れないからさ。ふたり分予算はあるし、心菜だって、それに参加する権利があるくらい仕事してただろ?」



そういうことか。

すみれちゃんが参加できないから、あたしに声を掛けてくれたのか。


それなら、なおさら行きたくないけど。



「な、行くだろ?」



ニコッと向けられた笑顔にドキッとしてしまう自分の心には逆らえない。



「……いつ?」


「来週の土曜の夕方5時から。場所は、"エビス"で」



エビス、とは、焼き肉食べ放題のお店。


学校の近くにあって、部活や行事の打ち上げなどでよく使われている。



「ほとんど実行委員の予算で賄われるけど、さすがに焼肉だと1000円くらいの実費は出ちまうみたい。大丈夫?」


「……うん、大丈夫……」



断ればいいのに。


怜央くんが誘ってくれたことが嬉しくて、やっぱり行きたくなってしまう。