「心菜、そんなに思いつめたような顔で見つめてどうかしたの?」
凪咲ちゃんから思わぬ指摘を受けたのは休み時間。
隣の席なのに、気づけば休み時間、少し遠いところで大和くんと一緒にいる怜央くんを眺めている。
「え、あたしそんな顔してた?」
思い詰めたような顔、なんて。
「してたしてた」
自分じゃ無意識だったのに。
結構重症かもしれない。
「そんなに好きなら話しかけにいけばいいのに~」
いつもの調子で冷やかしてくる凪咲ちゃんは、怜央くんがすみれちゃんとつき合ったことを知らないんだろう。
そういえば、まだ噂になっていない。
でもあの怜央くんのことだ。
学校中に広まるのも時間の問題のはず。
それまでは、口にするのもつらいから黙っていようと思った。