なんて、今更そんなこと言ってもどうにもならないし、そんなことない。


きっと、すみれちゃんだったからだ。


怜央くんが告白されるなんて日常茶飯事で。


今まで誰の告白もOKしなかった怜央くんが、素直にすみれちゃんの告白を喜んだ。


それはやっぱり、すみれちゃんだから……。



「うっ……ううっ……」



中学生のときの苦い思い出がよみがえる。


関係が壊れるのを恐れて、今のポジションに甘んじて。


その結果、勇気をだした女の子に神様は微笑んでしまった。


こんなことなら、気持ちを伝えて振られたほうが良かったのかもしれない。


あたしはいつだって、後悔ばっかりだ……。


だんだん足が重たくなり、ゆっくりゆっくり歩いていると。



「あれ?心菜ちゃんじゃん?」



廊下の角で鉢合わせたのは大和くんだった。


そして、あたしの顔をみて目を見開く。


あっ、やばい。


咄嗟に顔を背けたけどもう遅かった。



「どうしたの?」


「……っ、なんでもないっ……」