思わぬことを言われ、きょとんとする。
あたしの動作を見られていたなんて……。
誘導係は、間違いがないように声をかけるだけではなく、ちゃんと触れて確認するように指導されていた。
人によっては、肩に手を添えたりTシャツの袖を引っ張ったりしていた人もいた。
あたしは1位担当ということもあって、絶対に間違えてはいけないプレッシャーから、とにかく腕を掴んで離さないことに意識が集中していたのだ。
「こうやって、さ」
「……っ」
怜央くんは、それを再現するようにあたしの手首を握った。
さっきはあたしが怜央くんの手首をつかんだけれど、今度は逆。
大きくて、少し汗ばんだ熱を持った手があたしに触れてドキッとする。
「あ、うんっ……。ま、間違えちゃいけないし、ただ夢中で……」



