どうか、君の笑顔にもう一度逢えますように。



藤谷さんの目がこわくて、チラチラ彼女に視線を送りながら正直に伝えた。



「そうだったんだね、本当にごめんなさい」


「……ったく」



イライラしたような表情で、藤谷さんはスマホをすみれちゃんに押し付けると、踵を返していった。



「残りの仕事は、ちゃんと忘れずにあたしがやるから」



もう一度「ありがとう」と言うと、すみれちゃんはそんな彼女の後を追いかけて行った。



……ふぅ。

怒られちゃった……。


でも、当の本人のすみれちゃんに言われたわけではないのがせめてもの救い。


やっぱり藤谷さんは苦手だな……と思っていると。


ふわりと頭の上に手が乗せられた。



「どうしたの、ぼーっとして」


「れ、怜央くんっ!」



それは、今退場したばかりの怜央くんだった。