それは藤谷さんで。 あたしに向かって腕を組みながら、冷ややかな視線を投げていたのだ。 頭の痛みは一瞬にして霧のように晴れ、心臓がドクンッと音を立てる。 ……あたしに、何か用? その表情から、穏やかな話だとは推察できないから。 「ねえ、これ宮内さんだよね」 おもむろに見せられたのはスマホ。 そこには、怜央くんの手をつかんで誘導しているあたしが写っていた。 そのまま画面をスライドさせれば、怜央くんに頭の上に手を乗せられているものもある。 ……やだ。 どうしてこんな写真が……。