「じゃあ、あたし行くね……」



すみれちゃんの気持ちを知っているあたしがこれ以上ここに居たら、空気の読めないやつ……になってしまう。


怜央くんはなにか言いたそうにしていたけれど、仕方のないことだと思っているのか、特別言ってくることはなかった。


もともと、すみれちゃんが戻ってくるまでという約束だったのだから……。




校庭にいても邪魔になるだけ。あたしはまだ誰もいない教室にひとり戻った。


教室の窓から、作業をしているグラウンドをぼんやりと眺める。


昨日まであそこにいたのに、本番に加われないのはやっぱり少し寂しい。


すみれちゃんが元気になったのは嬉しいけれど……複雑な気分だった。






「あれれ?心菜、係仕事は?」



やがて登校してきた凪咲ちゃんは、あたしを見て不思議顔。