「怜央くんおはよう!」
「おはよ……って、もう体、大丈夫なのか?」
「うん!体育祭当日までには戻ってこれるように頑張ったから」
……そうなんだ。
もう元気になったんだ。
体育祭に間に合ってよかった。
「怜央くんごめんね?ずっとひとりで作業させちゃって」
「いや、それは大丈夫。西野がいない間、心菜が手伝ってくれてたから」
怜央くんはあたしに気づいていたようで、こちらに視線を送るとすみれちゃんが振り返った。
「え……」
すっ、と。すみれちゃんの顔から笑みが消えた。
その顔に、すみれちゃんもしくは藤谷さんが怜央くんに告げていたという"嘘"を思い出し、胸が痛くなる。
「あ、うん……。っていっても、大したこと出来なかったけど……」