友達の莉子の兄が主将として活動する中学の部活の大会だった。

特に趣味がある訳ではなく物静かで、周りの子供たちより少し大人びているとご近所に噂されているような私は本を読む、友達と遊ぶは愚か、スポーツなんて基本眼中もなかった。

友達だって数人いればいい、別に話しかけられたら話す。
妙に絡んで変に仲良くなって、めんどくさい事に巻き込まれるのは好まなかったから。


「お願い!人がいっぱいいて、一人で行くのは怖いの!!」


「えー...暑いもん」


そこをなんとか!と半分土下座混じりに朝早くなんの連絡もなく人の家に来たと思えば玄関で私に縋り付く友達をめんどくさいとおもった。

ましてやスポーツなんて、汗でベタベタして、相手とぶつかったりしたらその汗がこちらに移る、そんな暑苦しいもの、見て何が楽しいのかも、プレーする意味もわからなかった。

ただ、あまりにもお願い、とすがり付いてくるものだから、このままじゃ近所迷惑だったから。
仕方なく首を縦に振ったんだ。ただの気まぐれだった。





だがいざ会場に着くとガヤガヤと賑やかで誰も彼もが自身の応援する学校、仲間、友達などを応援していた。
そしてそれを勇気にステージに立つ選手たちも何もかもが、私の瞳には眩しいほどに輝いていたのを今でも覚えている。


考えればこの時からだった、私かバスケにのめり込み始めたのは、夢中になったのは。
あの日がなかったら、きっと私はバスケをしていない


そして今私は、高校に入り早くも高校2年生になり新しいクラスにも馴染み始めていた。もちろん部活は中学と同じバスケ部に入っていた。