かの言う私は……


「歩優先生!!
原稿、できあがりました?」

「はい!バッチリですよ」


小説家として、忙しい毎日を送っている。


高校時代、莉世に言われて興味本位で書き始めた小説を、大学に入ってからパッと目についたコンテストに応募した結果、見事大賞作品として選ばれて。


20歳でデビューしてからは、学生生活と並行して、小説家としても活動している。


そして今は、次回作としてぜひとも出したいと思っている小説のファイルを、出版社に持ってきたところ。


「ほう。これは、歩優先生のご友人が体験された話であると……」


「はい。私の親友の、高校時代のことを書かせていただきました」


もちろん、莉世と蒼井くん、2人のことだ。


色んな悩みや問題で苦しんでいる人に、少しでも力になればいいと、莉世自らが書いて欲しいと言ってくれて。


蒼井くんも、快くOKしてくれた。



「歩優の小説、読むの楽しみにしてるね」


「和栗、頑張れよ」



そう、言ってくれた。