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「それで、探し物って?」


「はい。
ちょっと………」


莉代さんから話を聞いた後、なんとか無理を承知で頼み込み、莉香ちゃんの部屋へと入れてもらった俺。


内容から察するに、莉香ちゃんが何も残してないとは思えない。


そう思ったら、探さずにはいられなかった。



と思ったのはいいものの……

見つからないな……


あまり女の子の部屋をあちこち物色するのは良くないと思って、目につく範囲しか探してない。


さすがにクローゼットの中を、他人の俺が、ましてや男の俺が触るわけにはいかねーし……


「あの、莉代さん」


「なにかしら?」


「莉香さんが、生前とても大切にしていたものなどはありませんでしたか?」


「大切にしていたもの?」


「はい。もしくは、今現在、莉世さんが大事に取っているものとか……」


そう言うと、莉代さんはクローゼットの中をゴソゴソし始めた。


「莉香が亡くなった後、莉世は莉香の匂いが消えちゃうから、部屋の整理はしないままでいたんだけど……あっ、これかしら?」


それからしばらくして、莉代さんが俺の前へと持ってきたのは、ティッシュ箱サイズのもの。


「確か、莉世と2人で使っていた箱だったわ。お祭りで取ったおもちゃの指輪だとか、宝石だとか、お互いに送った手紙とか。2人にとっての大事なものをここに入れていた気がするわ」


見た目は、まるで漫画にでも出てきそうな、明らか宝箱!!と言えるような木箱。


鍵穴があるけど、どうやら鍵は紛失したらしく、2人はそのまま使っていたらしい。


もしかしたらこの中に……


俺と莉代さんが箱を覗き込む中、蓋を開けようとした瞬間。


───────ピーンポーン。


「はーい!!!
ごめんなさい、誰か来たみたい。
たぶん莉世じゃないと思うから安心して。
ちょっと行ってくるね」


「あっ、はい」


それからバタバタと音を立てて玄関の方へ行った莉代さん。


どうやら相手はご近所さんらしく、立ち話をしている模様。


まだ戻ってこないみたいだし、先に開けてみるか……


ゆっくりと時間をかけてその蓋を開けるとそこには、



「これって…………」



俺が探していたものが、そこにあった。