「『私なんか』ってなんだよ。
結は俺にとって、誰よりも可愛くて守って
やりたい存在だぞ。
結は俺の事 どう思ってる？」

宮本さんは、真っ直ぐ私を見つめる。

私は恥ずかしくて、目を伏せながら答えた。

「あの…
好きにならないように頑張って気を付けて
ました。
好きになっても報われないから、好きに
なっちゃダメだって、ずっと自分に言い
聞かせてました。」

「それって、ほんとは好きって事？」

宮本さんに聞かれて気づいた。

そうか。
頑張らないと好きになっちゃうって事は、好きって事なんだ。

私は、そのまま こくん と頷いた。

「よかった。
結、付き合ってくれるよね？」

私はもう一度、こくんと頷いた。


こうして、私たちの関係は始まった。

あれから5年。
私たちは大きな喧嘩をする事もなく、恋人関係が続いている。