遠距離の彼 と 近距離の同期

いや、別に私が出世したいとか、主任になりたいわけじゃない。

でも、同期に指図されて仕事をするのは、
………いや、小川天に指図されて仕事をするのは、ムカつく。

多分、他の同期だったら、きっと一緒に出世を喜んで、仲良く和気藹々と仕事をしてたはず。

なんでよりによって、こいつなんだ!?

帰ったら、海翔に電話して愚痴聞いてもらおう。

あ、でも、配属初日だし、忙しいかな?

ああ、海翔に会いたい。


「…とう!
伊藤!!」

「え? な、何?」

しまった。
海翔に会いたくて、ぼーっとしてた。

「相変わらず、ぼけっとしてんなぁ。
今、やってる仕事、説明しろ。」

「は?」

「は?じゃねぇよ。仕事!
ダイヤ建築のシステム開発やってんだろ?
設計の詳細と進捗状況の説明。」

「ああ!」

私は、資料を広げて説明を始めた。
小川天が所々で突っ込んで詳細な説明を要求するから、説明だけで午前中いっぱい掛かってしまった。