「碧翔~」

「……噂をすれば…」

「え?」


まさかの片割れ登場。
同じ学校で、隣の隣のクラスにいるこいつが、俺を訪ねてこのクラスに来ることはそんなに珍しいことじゃない。


「……なんか用?」

「あぁ、俺今日体操着忘れたんだけど、ジャージ貸してくんない?」

「はぁ?またかよ!」

「いいじゃん。碧翔どうせジャージ置いてあるっしょ?」

「そういう問題じゃねぇし!」

「ま、ロッカーから勝手に取ってくからー」

「あ、おい!……ったく」


どうして、あんなやつが人気なんだ。
どう考えても俺の方がしっかりしてんのに。
あんな忘れ物ばっかしてるやつの、どこがいいんだよ。


……でも、俺の好きなやつは俺の片割れなんかには一切興味なし。
涼すけは紙の中のこいつに、釘付けだ。


「ASAHIくんー…」


・・・この、俺の兄貴にな。