表情が薄くなったと言われる俺が笑ったことに、少し驚いているのだろう。



滅多に笑わないから。




「あぁ、なんか、白石が妹に似てたから」



「…し、シスコン」



「黙れ」




俺はいつも通りの表情に戻すと、白石の手を掴んだまま、ゆっくり歩き出した。



白石は俺の手を握って半歩後ろをついてくる。




「ふ、二井くんっ、手…っ」




「どっか行ったら探すのだるいから」




そう言うと、白石は顔を赤くして、右手の袖を口元に寄せると下を向いた。



もしかしてこいつ、案外男の耐性ない?




ペンギンが見えると、白石は俺の右手を握ったままパタパタと走り出し、あっという間に俺を追い抜かして引きずる。




「見て!ペンギンさん!」



「そうだな」




白石の手が離れてなんとなく寂しく思いながらも、白石の楽しそうな姿をのんびり見つめる。



かわいい…か。




その後もただ、白石の気がすむまでずっと、白石を見つめていた。