参考書のページをめくったとき、咲久が部屋からチラリと顔を出した。



「さ、僕も勉強しよっと」



そう言って、勉強道具を机に置くと、俺の目の前に座ってニッコリ笑った。



「今日もよろしく」



「へいへい」




この笑った顔に少々腹立つけど、まぁ結衣のお願いだから、仕方ない。



チラリと結衣の方を見ると机に突っ伏して、鼻歌を歌っている。



「ねえねえ結衣ちゃん。ちょっと今いいかな?」



「ん?」



結衣はふわっと頭をあげて青い髪を耳にかける。




「ここ、わかる?」




それ、いけるのか?



結衣1年の頃は学年で最下位の脳みそだったんだぞ?



俺が不安げに横目に見ていると、結衣は問題を指差して、説明していく。




「んーっとね、ここは、三角比で運動の向きに働く力の大きさ求めて、運動方程式立てるといいよ」



「そっか、ありがと」



「いーえ」