結衣はそれだけ言うと、部屋からパタパタと出て行った。



俺はポケットに右手をかけて、咲久の方を向く。




「お前、ずっと起きてたろ?」



「さぁね?」



「性格悪いぞ」



「だって2人とも、全然進展しないんだもん。


眠気と戦いながら起きてた俺のこと褒めてくれてもいいと思うよ?」



咲久はそういうと、不敵な笑みを浮かべた。



これが性格の悪いクソガキの顔か…。



お姉様にはしっかり隠してる一人称“俺”。



ちゃっかり、いい弟を演じてるってわけ。




「姉ちゃん好きなんだもん。姉ちゃんが喜ぶことは全力でしてあげたいし、協力する。



可愛い姉ちゃんのためならなんでもできるよ」




そう言ってニヤリと口角を上げると立ち上がってクローゼットを開いた。



「俺着替えねぇと未央に会えねぇから、着替えたいんだけど」



「出て行けと?男同士だし減るもんでもねぇぞ?」