殺されかけたことや血がどうのというのは言わずに、ぼやかした言い方になってしまったけど……逢いたい人がいる、その気持ちは総て話した。 「………」 ママの問いかけに、こっくり肯いた。 暁になっても消えない想い。 どうすればいいの。 「そうね――」 ママは立ち上がり、押入れから私の習字道具を持ち出して来た。 中学時代選択授業で取っていたので、開けてすぐの場所に置いてあった。 その中から下敷き、半紙、文鎮、硯に墨を流し、筆を取った。 「……ママ?」