黎がそれに倣(なら)うかはわからないが、澪の血を好んで飲まれても困りものだ。
――それの加減を今、見守っている最中だった。
先ほど澪から連絡があった。
『黎の様子がおかしい』
孫が伝えた内容はそれだけだ。
あの孫は自分に陰陽師性がないのをどう思っているのだろうか。
……劣等感だろうか、ものすごく性格が歪んでいる。
人間としては有能――優秀な孫である。が、能力値――成績や功績――を見れば、黎には及ばない。
「……全くお前は」
《…………仕方ないのでまた見てきましょうか?》
「今私より沈黙長かったぞ、お前」
《だってー》
「一度符(ふ)の中に戻るかお前」
「遠慮します」
さっと顕現(けんげん)――姿を現――した式を、私は睥睨(へいげい)した。