「転校っ⁉」

同じ日の夕方、私は海雨の病室を訪れた。

私がここに来て海雨に逢わないわけがない。

「うん。ちょっと家のことがあって、斎陵学園に行くことになりそうなんだ」

「斎陵学園って――」

言葉を失った海雨は、そのまま視線を落とした。

いつものように、窓の外を向いて並んでベッドに座っている私は、少し迷ってから口を開いた。

「……私、ママの生まれた家に入ることになった」

弾かれるように顔をあげた海雨に、偽らずに話す。

「影小路っていう家で、ママは生まれたんだって。そこの先代当主がママの双児の妹さんで、妹さんの息子――私の従兄が、次の当主になる人なんだって。……私はそこに入って、やることが出来た」

「……かげのこうじ……」