「で、でもでも、真紅を育てるのは黒藤にはまだ無理です。ここはわたくしが育てないと――」

「その理屈はわかってるわ。だから、紅緒も審査したらいいじゃない」

「……わたくしが?」

「母親としては、黎くんが真紅ちゃんと付き合うこと認めてます。だから、紅緒も一緒に暮らす叔母(おば)として、黎くんのことをちゃんと見てあげたらどう? 頭ごなしに否定して駆け落ちなんてされちゃったら私、紅緒のことを大っ嫌いになるわ」

「わわわわわかりました! ちゃんと真紅の相手として見定めます! だから出て行くとか嫌いにとかならないでくださいっ!」

『⁉』

一変、泣きそうな声で叫んだ紅緒様に、四人そろってびっくりしてしまった。
 
各々(おのおの)、遅れて理解する。

⦅……真紅(私)がどうのというより、ただのシスコンか……⦆

と。

紅緒様は姉には逆らえないようだ。

「……紅亜様には是非とも小路に復帰してもらいたいな……」

小路流の正統後継者、かなり私見を含んだ意見ながら、俺も無言で肯いてしまった。