真紅が話すことに頭がついていかない。

ぼけらんとしてしまった俺の胸倉を摑んで、真紅が頬に口づけて来た。

「言いに行くから、絶対に生きて。死ぬことに諦めないで。……私のこと、ほしいって思ってくれてるんなら、そう思ってて」

呆気に取られる俺に言い放ってから、手を放した真紅は一気に顔を真赤にさせた。

「そ、そういうことだから! 簡単に言うと私、影小路に入るから! それじゃ!」

そのまま、すぐ近くのアパートに駆け込んでいった。

…………。

真紅が触れた頬を押さえる。

「……行動が全然読めねえ……」

俺、近い将来婿にもらわれるらしい。