「何なんだ、あいつは……っ」
 

ぜえぜえ息をして、とりあえず現実を取り戻すために何かしようと考えた。


着替えようか、お腹が減っているようだからご飯を食べようか、それとも――あ、まずは服を替えないと。


血まみれだって銀の人が心配してくれていたんだ。それから、貧血状態だから早く寝ないと――。あれ? そう言ってくれたのは……?


「………」
 

首元に手を当てた。続いて、肩口にも。
 

熱い。一瞬、焼けるような痛みが走った。――確かにここには傷があった。


「………ほんとうに……?」
 

助けてくれた?
 

………。
 

何で自分は眠ってしまったのだろう。ちゃんと起きて、出来事が夢である可能性もないと思える頭だったのなら、総てを信じられたかもしれないのに。


 血、が、


  あなたをもとめている。
 

あの、こっ恥ずかしいことを平気で言ってしまう――
 

違う。


    あなたの息が、私の血を――