陽華の吸血鬼①【一人称修正ver.】【完】


「黎明ののことは、俺も調べておく。こう言っては難だが、研究対象としては黎明のは貴重だから失うには惜しい。……俺も黒も、黎明のを死なせる気はないよ」

唇の端に笑みを見せる白ちゃんを見て、年齢にそぐわない圧倒的な自信が見えた気がした。

「…………あ」

ありがとう、と言おうとして、言葉はつかえた。

何かが違う気がした。

今、私が白ちゃんに口にすべきは、それではない気がした。

「……さっきから白ちゃんが言ってる、『黎明の』って、黎のことだよね? どうしてそんな呼び方を?」

「ん? ああ……陰陽師の言霊は普通の人よりも、呪いに近い。黒は主家である影小路の者だから名前で呼んで構わないんだが、一応俺は別の流派だからな。他家の者は余程関係が近くない限り、そういう通り名で呼ぶんだ。『黎明の』は、単に名前を文字ってだな」