陽華の吸血鬼①【一人称修正ver.】【完】


「俺は……見鬼ではないから。涙雨のことも、黒い小鳥にしか見えないし、声も聞こえないんだ」

淋しそうな桜城くん。黎の言っていた通りなんだ……。

「涙雨」

次に聞こえたのは少し冷えた声音だった。

凛と劈(つんざ)くように呼ばれて、るうちゃんは羽を羽ばたかせた。

『白(しろ)のひ

「涙雨? 燃やすぞ?」

『失礼した、白(しろ)の若君』

桜城くんには聞こえないらしい声で、るうちゃんが即座に謝った。

か、カゲキなこと言う人だなあ……。

私はまじまじと、呼んできた青年を見遣る。

あれ、昨日の黒藤さんと同じ制服だ。