「うん。……今日も病院行くの?」 「勿論。海雨にも……、逢いたいし」 「俺も行っていいかな?」 「うん―― 『少々待たれよ。お二方』 「えっ?」 聞いたことのない高い声――子どものような声に呼ばれて、辺りを見回した。 「真紅ちゃん?」 きょろきょろする私を不審に思ってか、桜城くんが声をかけてきた。 「あ、今誰かに呼ばれなかった? お二方、て」 「俺には聞こえなかったけど……」 『ここじゃ、お嬢』 今度は私のすぐ耳元から聞こえた。 いつの間にか、肩に紫色の小鳥が乗っていた。