ふらりとまたよろめいた。


「……座れ」
 

呆れ気味の黎に促され、玄関にすとんと座り込んだ。


靴脱ぎ場から十センチもない、アパートの一室。


キッチン部分と、畳の部屋。
 

黎は私の前に膝をついて、靴を脱がせた。


「!!!」
 

え! な、何をされている……⁉
 

鮮やかな手つきに叫ぶことも出来ない。


何で女子の靴を脱がすことに手馴れているんだ。


「ねえ……『何』なの? あなたは……」
 

まさかだけれど、執事とかそういったことの経験者なのだろか。


「吸血鬼だよ。真紅の血がほしいだけの」


「………」
 

私は、血なら役に立てるんだ。


「あげるよ」