「れ――兄貴!」

公園を出る前に兄貴に追いついて、そう呼んだ。兄貴は緩慢に振り返る。

「架……お前よくあんな口上手くなったな」

「兄貴が家にいない所為で色々処世術を。それより……」

「なんだよ。病院、無理に抜けて来てるから戻らねえと澪がうっせんだけど」

「みおって……兄貴に血をあげてる人だっけ?」

「いらねえって言ってんだけどな」

「それって、真紅ちゃんの血なら欲しいってこと?」

「………」

俺の誰何(すいか)に、兄貴は目を細めて睨んで来た。思わずため息が出る。

「古人様は、兄貴と真紅ちゃんのこと知ってるの?」