「!」
桜城くんからは聞いたことのない冷えた声音に、驚きが過ぎて一瞬固まってしまった。
「俺が誰を女にしようがお前には関係ねえだろ」
お⁉ 今度は黎の言い方にびっくりした。彼氏役、やる気ないんじゃ……?
牙を剥いたのは桜城くんだった。
「関係あるに決まってんだろ⁉ 跡継ぎのくせに家出しやがって! 被害は全部俺に来てんだよバカ兄貴!」
………ん?
「あ、あの、桜城くん……? 黎のこと知ってるの?」
いくつか引っ掛かる単語があって、私は確認を求めた。
すると、服を摑まれたままの黎が先に答えた。
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