「ありがとう! 助かった」


弘江は少し大げさな感じでそう言い、笑顔を浮かべる。


その笑顔に信吾の顔は完全に緩んでしまっていた。


やっぱり、あれは嘘じゃなかったみたいだ。


「返すもの、いつでもいいから」


信吾は上機嫌にそう言い、自分の席へと戻って行ったのだった。