「そうだね。さすがにこれはないよね」


あたしはそう言って苦笑いを浮かべる。


1億円あれば……。


それは誰もが考える幻想に過ぎない。


宝くじが当たった時の妄想と同じだ。


「でもさ、ヤバイかもね……」


小さな声で弘江がそう言った。


「ヤバイってなにが?」


そう聞き返すと、弘江は剛たちへと視線を向けた。


3人は相変わらず大きな声で話をしている。