背中を蹴られた裕はバランスを崩し、そのまま倒れ込んでしまった。


「じゃ、よろしくな」


拓郎はそう言い、剛と共に教室を出て行ってしまった。


残された裕は拓郎のノートを広い、自分の椅子に座った。


机の乱れを直し、何事もなかったかのように文庫本を取り出して読み始める。


「少しくらい抵抗すればいいのに」


一連の出来事をボンヤリと眺めていた安藤直美(アンドウ ナオミ)がそう言った。


しかし、その声に裕への興味は感じられなかった。


ただ暇だから見ていただけみたいだ。


そう言うあたしも直美と同じだった。


休憩時間にボンヤリと3人の様子を見ていただけで、別に興味はない。