「なに?」


「なにじゃないじゃん。なんで剛と仲良くしてるの」


あたしを教室の奥まで引っ張ってきた弘江が、あたしを睨みながらそう言って来たのだ。


あたしはキョトンとして弘江を見つめる。


弘江がどうして怒っているのか全くわからない。


「いいじゃん別に、なに怒ってるの?」


「だって、みんな怯えてるでしょ!」


そう言われ、プッと拭きだす。


「仕方ないでしょ。あたしたちが教室に入った時点でみんな怯えてた。剛は関係ない」


早口にそう言うと、弘江は驚いた表情であたしを見つめた。


「本気でそう思ってるの?」


そう言って今度はあたしを疑うような視線を向ける。