この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。

「そんなの関係ないよ。それに、私が稔を元気にするんだもん」

「ありがと、里穂」


彼がうっすらと涙を浮かべているのを見て、この選択は正しかったんだと感じた。



そして稔の退院の日。

その日は終業式で学校は午前で終わり。
私と俊介は部活を休み、家で稔が帰ってくるのを待っていた。

するとスマホに《帰ってきたぞ》のメッセージが届く。あんなことがあったふたりだけど、稔は3人のグループのほうに連絡を入れてくれた。

それを待ちかまえていたかのように、俊介の部屋の窓が開く。


「里穂。送っていこうか?」


私はその質問に首を横に振る。


「ううん。俊介も一緒に行くの」


稔が俊介にも連絡を入れたということは、会いたいという意思表示なんだと思うから。


稔の腫瘍を知ってからたくさん調べた。

すると腫瘍のせいで情緒不安定になることもあると書かれていた。

ましてやあの日は、自分の病気が深刻であることを知ったばかりだった。

取りみだしてもおかしくはない。