この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。

「稔がなにも話さなくなって。天井を見たまま返事もしないし、ご飯も食べない。ただ息をしているだけで……このままいってしまうんじゃないかって。なにをしてあげたらいいのかわからなくて」


おばさんの目からブワッと涙があふれだす。

やっぱり、自分の病気について深く知って、絶望してしまったんだろう。

そりゃあ『1年後の生存率は50パーセント』なんてつきつけられたら、誰だってそうなる。
私ならきっともっと取り乱す。


なにをしてあげたら……。
私にはなにができる?

むせび泣くおばさんの背中をさすりながら、懸命に頭を働かせる。

そして出したのは、ひとつの答え。


「おばさん、ゼリーを買ってきたんです。稔にちゃんと食べてもらいますから。少しふたりにしていただけませんか?」

「ありがとう、里穂ちゃん。頼ってばかりでごめんなさい」


声を震わせるおばさんに首を振り、稔の病室に向かった。