この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。

それは伝えられたものの、稔に告白されたことはもちろん言えない。

ううん、言いたくない。


「俺も。拒否されている以上、稔にはたいしたことはできないけど、俺が里穂を支えるから」

「ありがと」


俊介がいてくれて本当に助かっている。

私だけなら毎日笑顔で稔の病室に行けなかった。

こらえきれなくなったら泣かせてくれる彼がいたからこそ、稔の前で元気でいられた。

どうしよう。
私はやっぱり俊介が好き。


それから私たちはいつものように空いた電車に乗り込み、家へと向かう。

毎日激しいトレーニングを積んで会えないというのに病院に行き、こうして遅くの帰宅が、俊介にとってどれだけ負担かわかっている。

それでも隣にいてほしい。


やがてうとうとし始めた俊介が、私のほうに倒れてきて、私の肩に頭が触れた。

向かいの窓に反射する私と俊介の姿を見つけ、胸が苦しくなる。


俊介が……好き。