この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。

俊介はいつも私のちょっとした変化に気づく。

稔が倒れる前までは、私が沈んでいると必ずからかい、テンションを上げた。


ときにはとんでもないことを言い出すので『もう!』と怒ることもあったけど、彼のおかげで救われてきたことがたくさんある。


「稔が……知っちゃった」
「なにを?」
「病気の、こと……」


私が告げると俊介は目を大きく開いたまま動かない。


「どこまで?」

「全部。情報が書かれているサイトを自分で見つけて、私に見せてきたの。そこには生存率まで……」


そこまで言うと泣きそうになり、大きく深呼吸する。


「はー」


俊介は大きなため息をついている。


「私、否定しなくちゃいけなかったのにできなかった……」

「しょうがない。俺だって突然そんな追及されたら、たぶん嘘はつけない」


俊介は苦々しい顔をする。


「明後日、退院できるんだって。一時的だとは思うけど、全力で支えようと思ってる」