この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。

私はうなずく。

“病は気から”と言うけど、それは嘘ではないのかも。


「私……精いっぱい支えますから」

「……ありがとう。里穂ちゃんと俊介くんには本当に感謝してる。下で俊介くんにも会ったの」


俊介の名前が出て、心臓がドクッと音を立てる。


「稔があんなにひどいことを言ったのに、毎日こうして来てくれて……あの子はどれだけ幸せなんだろうね。明後日、退院できる見通しが立ったのよ。家のほうにも来てやってくれる?」

「退院できるんですね! もちろんです」


目にうっすらと涙を浮かべながらも気丈に振舞うおばさんを見て、私も強くならなければと感じた。


一階まで下りると、すぐに俊介と視線が合う。


「飯、食ってた?」
「ひと口、だって……」


なにから話したらいいんだろう。
緊張のあまり目が泳ぐ。


「里穂? なんかあった?」